二百文字小説【小さな玉手箱】
《76.デザイナーズマンション》

 俺の実家は農業をしている。

 近所も農家ばかりだ。友人は高校を卒業して跡を継いだ。

 けれど俺は違った。憧れの都会生活をしながら、農業の勉強をする。

 住まいも一転。木造平屋建てからデザイナーズマンションになった。

 お洒落な内装。壁は防音。

 フローリングの床にワックスをかけ、ベッドに寝転んだ。

 静かになった室内には時計の秒針の音だけが響く。

 実家ではウシの声がしていたな。

 都会生活のなかで、田舎生活の懐かしさを感じた。
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