二百文字小説【小さな玉手箱】
《77.通勤電車》

 今日も通勤ラッシュだ。

 混雑しているのを見るとうんざりしてくる。

 その中に知っている顔が見えた。

「おはよう。いつもこの電車なのかい」

「うん、おじさんも?」

 向かいに住んでいる小学生だ。

 お受験戦争を勝ち抜いたと聞いたが、電車通学とは驚いた。

 そんな子供にも容赦なく人波は押し寄せてくる。

 押し倒されないよう守ってやると、彼から笑顔がこぼれた。

「ありがとう」

 すし詰め状態の電車だが、こんな通勤もいいかもなと思った。
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