切ない恋心
行為が終わるとそれぞれにシャワーを浴びる。
あたしが使うのは無香料のボディーソープだけ。
安っぽいホテルのアメニティの香りを漂わせたくないのだ。
同じ理由でシャンプーも使わない。
帰ったらゆっくりお風呂に入るんだしそれでいいと思ってる。
体を拭きお気に入りの香水を振りかけるとあたしは落ち着きを取り戻す。

「お待たせ。あれ?フードは?」
「勝手に頼むとお前怒るじゃん。ホラ。何にする?」

セフレになって半年。
肌を合わせているだけなのに修にはあたしのことが分かるみたいだ。

「カルボナーラ食べたい」
「はいよ。俺カレー」
「また?飽きないわね」

コールで食事を頼み一緒に食べる。
それから煙草を吸って時間差で修が先に部屋を出た。
「金はいいよ」
そう言う修を無視して毎回半額払う。

一人残された部屋でぼんやりと思う。
カノジョだったら朝まで一緒にいるんだろうと。
二人並んで部屋を出るんだろうと。

「…バカバカしい」

あたしは勢いよく立ち上がり部屋を出る。
ヒールを鳴らしながら廊下を歩く。
高いヒールとその音はあたしの安定剤だ。


< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop