いきなりプロポーズ!?
「な、なんで?」
「なんでって。お前だけ贅沢フレンチにスイートなんてズルいだろ。俺だって迷惑被ってるんだからさ。神山さんに文句言って、俺に譲ってもらった」
「そ、そうなの」
「何、神山のほうがよかったワケ?」
「そんなわけないじゃない」
「そんなにお洒落して気合入ってんな」
「そういう訳じゃ……」


 久々の達哉に私の胸は高鳴った。もう会えないと思っていた相手、想い人。私はもう涙が出そうだった。達哉は鼻で笑いながら私の頭のてっぺんから足の先まで見た。


「お洒落じゃなきゃ、それ、首輪?」
「失礼な。チョーカーです」
「肩に掛けてるの、カーテン?」
「ストールです! もうっ」


 達哉は私が怒って返事をするとクスクスと笑いだした。変わらない達哉、すごくうれしい。


「何飲む? 俺、先にビールもらってたんだけど」
「シャンパン! お通しはマカロンで」


 それを聞いたスタッフはカウンターの中に入っていく。私は店内を見回した。細長い作りで席はカウンターで横並びに8席だけ。時間が早いのか、カウンターにはランチョンマットやカトラリーの類は揃えられていたけど、客は私と達哉だけだ。

 カウンター越しにシャンパンとマカロンが届く。その細長いグラスを持った。


「何に乾杯する?」
「んー、達哉のサッカー復帰に」
「まだリハビリ中だぜ? じゃあ無事アラスカから帰還したこと」
「そうだけど……」
「なんだよ、不満かよ。じゃあ再会できたことに乾杯」
「うん。乾杯」

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