いきなりプロポーズ!?
「松田って男には会ったのかよ」
「松田さん?」
もう松田さんのことなんて忘れていた。連絡を取ろうと思ってもなかったし、これからも取ることはない。
「ううん」
「なんで」
「だって、もう」
「もうじゃないだろ。いいから連絡しろよ、今」
「今?」
「とにかく確認しろよ。お前のこと待ってたらどうするんだよ」
達哉ににらまれて私は足元のカゴに置いていた鞄からスマホを取り出して松田さんの連絡先を呼び出した。達哉は顎をしゃくり、早くしろ、と催促する。画面をタップする。しばらくしてプルルルという呼び出し音が聞こえてきた。
「もう1年前だし、海外かもしれないし。あ、こんばんは」
呼び出し音が切れて男の人が出た。松田さんだ、間違いない。
「あの、覚えてますか? 愛弓です。真田愛弓。え?」
プツリ。通話は切れてツーツー音が聞こえてきた。
「どうした?」
「通話切れちゃった。もう一回掛けてみるね」
私はもう一度松田さんのスマホに掛けた。すると呼び出し音なしでつながった。
「愛弓です。あの……へ?」
聞こえてきたのは女の声。”アンタ誰、アユミ? 私の男に何か用? いまイイコトしてたのに邪魔すんな!”というような台詞。そして松田さんの声で、”やめろよ、返せよ俺のスマホ!”“他にも女がいたのね!”“とっくに別れたよ”という軽い言い争いのあと、女が言った。”アンタね、遊ばれてんの。分かった? どうせオーロラ見て人生観変わったから渡米するとかなんとか言われたんでしょ、それ松田の常套句だから。じゃ、もう掛けてこないで”
ツーツーツー。