いきなりプロポーズ!?
「全く。すぐどこかにいなくなって」
ダメ、勘違いしてしまう。私は膝の上でぎゅうっと手を握っていた。
「お前は猿か?」
「はあ? 猿ぅぅぅ??」
突然の言葉に達哉を見上げた。
「言葉も分かんねえなら猿だろうーが!」
「なによ、そんなこと言ったら達哉のほうが猿じゃん」
「は?」
「女の子に声かけられてデレデレしちゃって。鼻の下伸びてた!」
「伸びてなんかねえよ! あ、それともなにか? お前、やきもちやいてるんだろ」
「え?」
達哉は横から私の顔をのぞき込み、にやりと笑った。
「へえ」
「や、やきもちなんかやいてない」
「じゃあ今晩、さっきの女の子の部屋に行ってもいいか? 一緒に飲みませんかって誘われてんだけど」
「え……?」
一瞬、私の体が硬直した。きゅうって胸が苦しくなった。本当に誘われたんだろうか、奴の顔をうかがう。達哉はうれしそうに笑うだけ。
達哉は立ち上がると私の前に立って、私の右手を取った。つられて立ち上がる。目の前には達哉の青いジャケット、広い胸。
「本当に誘われたの?」
私は心配になって達哉を見上げた。
「やきもち焼いてる顔も可愛いのな。お前」
私はどきりとした。達哉の笑顔。ダメだ、また勘違いしてしまう。私はうつむいた。その私の背中にかかるジャケット。達哉が着せてくれていた。腕を通す。
そして達哉は私の前にしゃがみこみ、ファスナーの金具を止めてじゃじゃーっと上げた。そして私を見上げた。