いきなりプロポーズ!?
「招待状です。どうですか?」
「え? 達哉と行けって?」
「いえ。招待状はひとり分です」
そう返事すると神山さんは人差し指を立てて、それを今度は神山さんの鼻に向ける。つまりは神山さんと?
「え?」
「招待状があっても会員とでなければ入れないんですよ。店までの往復のタクシー代も会社で出させていただきます。遠方であれば旅費も」
「でも」
「新條様にはまた別口でお詫びの品をご用意してます。なのでこれは新條様にはご内密に……封筒しまってください、新條様がこちらに来ます!」
私は慌てて封筒を首から青いジャケットの内側に突っ込んだ。落ちないようにジャケットの上からグローブで腹のあたりを押さえる。
「なにしてんの?」
「べ、別に。ってかケンカ中なんだから話しかけないで!!」
「お前が挙動不審だからだぞ。ほら、行くぞ」
「ふん! じゃあ神山さん、“またあとで”」
私は神山さんに首をかしげるようにして、ごきげんよう♪的に会釈した。振り返ると達哉はエレベーターの前で鬼の形相で私を睨んでいた。