いきなりプロポーズ!?
エレベーターが到着して扉が開く。達哉は先に乗り込んでボタンを押していた。
「早くしろよ、愛弓!」
「ふん!」
私はお腹を押さえたまま駆け寄り、乗り込んだ。扉は閉まった。
「なにしゃべってたんだよ」
「……」
「やけにうれしそうだったじゃんか」
「……」
私は達哉の言葉を無視して階数表示を眺めていた。
「ってか、お前さっきから腹抱えて何してんの?」
「……」
「腹が痛いのか?」
ポーン。エレベーターは5を示して光を点滅させる。扉が開いて私は先に下りた。すたすたと通路を歩く。分厚いジャケットにごついグローブ、封筒がいまどの位置にあるのか見当もつかない。達哉にばれても面倒だ。シャンパンとマカロン、桜の一枚板、こんなチャンスめったにありつけない。
「おい」
背後から達哉に肩を掴まれた。私はバランスを崩してよろけるけどお腹にあてた手は離さない。頭の中でシャンパン、マカロン、桜、交通費込み、を繰り返す。私の首裏にはた奴の鼻息がかかった。
「マジで腹、痛いのか?」
「……」
「こっちはマジで心配して声掛けてんだよ。何かしゃべれよ!」
「シャンパン、マカロン、桜。交通費……」
「は?」
いかん。頭の中で繰り返していた言葉をつい口にしてしまった。
「なんでもない」
「そんなに屈んで腹を押さえて、痛いなら痛いって言えよ」
「痛くない」
「じゃあなんで押さえてんの? あ、さては。ははあ……」
達哉の声が急に低くなった。その次の瞬間、脇腹に刺激が走った。
「ん? や、ちょ……キャハハハハ、や、やめて!」
ジャケットの上からくすぐられている。しかも両脇をつまむようにむぎゅむぎゅと。達哉の大きな手はグローブの厚みももろともしないらしい。くすぐったくて身をよじるけど、掴まれているから逃げたくても逃げられない。
「や、やだ、達哉! くすぐったい!」
「白状したらやめてやるよ」
達哉は後ろから私を抱きしめるように覆いかぶさってくすぐる。耐えかねて私は両手で達哉の手を外そうと必死に手を重ねた。でもくすぐったくて力が入らない。
「もうお願い」
「教えろよ」
「ダメ。神山さんが内緒って言ってたから」
「は? 内緒……?」