同・棲・同・盟!
「うん。大丈夫だよ。ちょうどアパートが火事の時、私飲み会でいなかったから」
「あぁ、そう言えばそうだったね。日田さんの“おかえりなさい会”だっけ?新田さんも行ってたんだよね」と言うトコちゃんに、私は頷いて肯定した。

火事の規模がそんなに大きくなかったからなのか。
今のところは一度も、うちが火事になったのでは?と、営業部の人たちに聞かれてはいない。
それに、私が七瀬に住んでいると、営業部の人全員が知ってるわけじゃあないし。
だからトコちゃんと同棲している新田さんも、聞いてこなかったんだと思う。

「そっか。良かった。で、今はアパートに戻ってるの?」
「ううん。あそこはもう解約することになって」
「だよねぇ。その方がいいよー。それで今はどこに住んでるの?」
「あぁ、っと・・し、親戚の叔父さん宅に」

うちが火事になったことは、別に誰に知られても構わないけど、ただいま日田さん宅に・・・同居させてもらっているということを、誰かに、特に社内の人たちに知られちゃったら、日田さんに迷惑がかかる!
と思った私は、咄嗟に嘘をついてしまった。

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