どこまでもパラレル
「やはり電車で帰るよ」
そう言っても智子は表情を変えなかった。
もう会うこともないだろう。

智子は、約束を覚えているだろうか。
あの約束は忘れてくれ。
と言いたかったが、わからなくなってしまった。
智子のことがどうでも良いのなら、そんな覚えているかいないかわからないような約束の話などせず、ほっておけば良いのだ。
あんな安っぽい約束。
別れる恋人の半分は、するかもしれないありふれた約束。
そして、たいていかなわず忘れ去られる約束。
そんな約束は、間違っていると、わざわざ伝えたいのは俺は智子のことを、本当は好きだったからなのか。
< 13 / 15 >

この作品をシェア

pagetop