Chat Noir -バイオハザー度Max-
「そ、それって浮気ですか!
涼子がいるのに酷いっ!」
私が目を吊り上げると、
「だから昔って言ったじゃないスか!それに俺、当時付き合ってた彼女と別れたばかりのときだったし」
「え…そーなの…」
「話聞いてくださいよ。もー」
溝口さんは顔を覆ってガクリと首を項垂れる。
「あのときは俺、どうかしてたんです。
同棲してたから急に独りになって、部屋から彼女の物が消えてるのを目の当たりにしちゃって…
寂しかったんスよね」
「溝口さんにも寂しいって感情あったんですね」
意外…と言わんばかりに目をぱちぱちさせていると
「ふつーに酷いスね、朝都さん」と溝口さんは呆れ顔。
「あ、あはは…」
私は苦笑い。
「どんなに強い人間でも……やっぱり誰でも心に隙間があるんですよね。
寂しくなること、悲しくなることなんて誰でもあるんです。
でも
寂しかったから涼子さんと付き合ったわけじゃないスよ。
あれから随分時間も経ったし。
誰でも良かったわけじゃなかった。
涼子さんじゃないとだめなんです。
涼子さんのこと―――あ……
愛してるんです!」
溝口さんは顔を真っ赤にさせて雑誌を握りながら顔を覆った。
「溝口さん……そのエッチな雑誌を持って言う台詞じゃないですよ。
説得力ゼロ」
私は思わずその雑誌を指差すと、溝口さんは慌ててその雑誌を離した。
でも、まぁ…
涼子のこと大事に想ってくれてることには違いない。
良かったね、涼子。