Chat Noir -バイオハザー度Max-
「あ…あんた何やってんのよ!ここ二階よ!」
思わず窓の淵に手をついて勢い込むと、
「あんたこそ何やってんだよ、危ないって。落ちるぜ」
と言って、私の肩を少しだけ押し戻す。
黒猫は器用に枝の幹に捕まり、頬杖をついた。
てかその歳で木登りって……
ヤンチャか!と心の中で思わずツッコむと、
「なんかさぁ
会いたくなっちゃって
やっぱりメールだけだと物足りないって言うか…
遊んでくれない?おねーさん」
と黒猫が上目遣いでじっと私を見つめてくる。でも黒猫はすぐに僅かに顔を逸らしちゃった。
その横顔にまたも赤い色が。夕日の色なのか、それともそれが黒猫の体温なのか。
きれいな薄桃色だった。
やってること言ってること大胆なのに、ちょっと照れてるところとか
可愛いし……
「朝都~?何独り言ブツブツ…って、わ!黒猫くん!!」
後ろから私の様子を見に来た涼子がびっくりしたように目を丸めた。
「こんちわっス」
黒猫がぶっきらぼうに手を挙げる。
「黒猫!?ってあの!」
と、黒猫の存在に気付いた浩一も走ってくる。
「何なに、先輩の飼いネコっすか?」
後輩くんも……
さすがに黒猫もちょっとたじろいだように顎を引いて、
「今日って何時までここに居るの?」
と早口に聞いてきた。