EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【オーレリアン編】
「自分の死体は雪風様が大事に守って下さったようで…おかげで鬼狩りの仲間に首を斬られずに済みました。斬られていたら黄泉帰りとして、今ここに自分は存在していませんから」
手で前髪を直し、再び傷痕を隠してから拓斗は力無く笑った。
「鬼だろうと人だろうと、誰かを斬ることは悲しみを生むことに繋がってしまう。人生の最期、やっとそのことに気づいたのです。ならば、闇人になった今、自分にできることは何か…。そう考えた時、ふと思い付いたのが、命を救う職業の医者でした」
そして彼は真っ直ぐオーレリアンを見つめる。
「この道を選んだことに迷いも後悔もありません。君はどうですか?過去と向き合って、今の自分の道を見つめ直してみて下さい」
改めて問われ、オーレリアンは自己を正当化するように言葉を紡いだ。
「僕は…僕のせいで死んだ母様を、生き返らせたいんだ…。それには、死者のクローン研究が…必要で…」
「そうですか。……君のお母様は、人間ですか?」
オーレリアンが静かに頷くと、拓斗はふむと考える。
そしてこう言った。
「人間ならば、なぜ黄泉帰りとなって君のもとへ現れないのでしょうね」