EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
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白魔に目覚めのキスをされて飛び起きた小鳥。
目が覚めた瞬間からドキドキしっぱなしで真っ赤になりつつ身支度を済ませる。
それから昨日のように食堂へ向かうと、そこには屋敷の住人だけでなく氷河もいた。
「氷河さん!おはようございます」
「ああ、おはよう」
彼が素直に挨拶を返してくれるとは思わず、嫌みの一つや二つ覚悟していた小鳥は目を丸くする。
更に氷河はこう言った。
「お前に感謝する。小鳥・クラヴィエ」
「え?」
「お前のおかげで、俺はあれ以上の醜態を人前で曝さずに済んだ。……ありがとう」
(えぇ!?あの人間大嫌いな氷河さんが、私にありがとうって言った!?)
内心、飛び上がる。
小鳥はビックリし過ぎて曖昧な返事しかできなかった。
「小鳥様、今日のメニューは何に致しましょうか」
席に座るとお決まりの如くエマが寄って来た。
「えっと…」
隣で悩んでいる小鳥を氷河がチラッと見遣る。
「ドイツで有名なのはソーセージだ。まだ食べていないならニュルンベルクのソーセージでも頼んでみたらどうだ」
氷河の然り気無いアドバイスにハッとする。
「じゃあ、そのソーセージで…お願いします」
ペコリと一礼してエマが下がると白魔がムスッとした表情で小鳥に抱き着いた。
「魔冬氷河、馴れ馴れしいよ。君が人間嫌いだってことはわかってるんだ。小鳥を助けてポイント稼ごうとしたって無駄だよ」
「ハッ、何のことやら。お前の妻はこれくらいのことで他の男に心が傾くのか?それならば、たわいないな。支配しやすい人間の見本だ」