EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
それから、その日も当たり前の如くヴォルフがルカにまとわりついていた。
ルカはあまり寝ていないため、眠そうな表情でヴォルフの相手をしている。
ヴォルフも寝ていないはずだが、こちらは普段通りピンピンしているから不思議だ。
そんなルカとヴォルフを廊下や居間で見掛ける度、小鳥は思い出す。
ーーキミのこと傷つけたら、ルカくんどんな顔するかなぁ?
ヴォルフの口から飛び出したその言葉が、小鳥の頭から離れない。
(怖かった……)
あの時、ヴォルフの牙が見えた瞬間、血を吸われるかと思い身構えた。
思い出して、また震えが走る。
(冗談、だったんだよね……?あの後、笑ってたし……)
本気にした小鳥の顔を覗き込んで「マヌケ面」だと嘲笑っていた。
馬鹿にされたのは腹立たしいが、本気で傷つける気もないのだとわかって安堵した。
はずだった。
小鳥の部屋にヴォルフが音も無く忍び込んできたのは、その日の就寝後。
部屋の明かりを消して柩の蓋を開けたまま、小鳥がなかなか寝付けずに寝返りを打っていた、その時。
「起ーきーて。ブサイクペットちゃん」
「っ!?」
突然耳元で聞こえた声に、小鳥は体をビクリと震わせ飛び起きた。