EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
外側から柩の蓋がノックされ、フェオドールの声が降ってくる。
それに体をビクリとさせたルカが、ハッと我に返ったような表情で動きを止めた。
「っ、ぁ……俺……」
「ルカ、くん……?」
不安げな小鳥と至近距離で目が合い、カーッとルカの顔が赤くなる。
「ごめっ、俺……!」
慌てて起き上がろうとして、ルカは頭を柩の蓋にドカッとぶつけた。
「痛っ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「うぅ……うん。ダイジョブ。俺より、君だよ!平気?俺、今……小鳥のこと……」
「平気です。何もなかったですよ」
「ホントのホントに?」
「はい」
「そっか……良かった」
安心しながら蓋を開ける。
お互い、心臓はバクバクだ。
(あのまま、吸血されても良かったかも、なんて……。私、ルカくんのこと……)
彼をボディーガード兼フィアンセに選んだ時点で、もう答えは出ていたのかもしれない。
小鳥は自分のうるさい胸にそっと手をやり、切なげな吐息をこぼした。