EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「そうですか、良かったです……」

「父さん情報だと天気は晴れらしいよ。だからたぶん、こいつの出番はないかな。……ところでさ、小鳥はどこか行きたい場所ってある?」

「え……?」

急に質問され、すぐに言葉が出てこない。

てっきりルカが興味のある所へ連れて行かれるものだとばかり思っていた。

小鳥は考えつつ瞬きを繰り返す。

「例えば、そうだな……前に住んでた家とか、通ってた学校とか」

ルカの例えに、小鳥は少しだけ気持ちを暗くした。

見に行って何になるだろう。

楽しい記憶よりも、寂しさや孤独の方が強く思い出される、それらを。


(過去を振り返るために行くんじゃなくて……ルカくんとの楽しい思い出を、地上でつくりたい)


沈み込みそうになる思考を、ルカの明るい顔を見て吹き飛ばす。

小鳥は笑顔を作った。

「……特に、ないですよ」

「本当に?せっかくだからさ、もし思いついたら遠慮しないで言ってね?」

「はい。ありがとうございます。ルカくんはどこに行きたいとか、ありますか?」

「俺はね、取り敢えず……いっぱい人間がいるところに行きたい。それで、人混みってやつ、体験してみたい」


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