EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】
「ねえ、賭をしようか」
「賭…?」
「小鳥が鳥籠から出て行くか行かないか、カギを開けて賭ようよ」
兄の真意がよくわからず、カロンは首を傾げる。
「実行するのは明日。僕は出て行かない方に賭ける。君は?」
「……出て行く」
「そう…。もし僕が勝ったら彼女は貰うから。覚悟して」
そうきたか。
いかにも白魔が考えそうなことだ。
カロンは苛立たしげに舌打ちをした。
「なら………俺が、勝ったら…」
「君は勝てない。確実に負けるから、安心しなよ」
カロンの言葉も聞かず、もう話は終わったとばかりに歩き出す白魔。
動揺しつつカロンも歩き出す。
向かうは小鳥の部屋。
(俺にとっては、勝っても負けても失うだけの賭、か…)
酷い痛みを耐えるようにカロンはきつく唇を噛み締めた。