彼に惚れてはいけません

パリっぽいと思ったら、コンセプトがパリなのだろう。

凱旋門をかたどった壁の装飾、壁紙はエッフェル塔。
BGMは、映画ムーランルージュのサントラだった。

パリの街角のカフェにいるんだと錯覚できる場所で、私のお気に入りスポット間違いなし。

アイスラテ片手にボーっとしていると、奥の席に見覚えのある横顔を見つけた。

視力0.6の私には、その横顔が誰であるのか、断定はできない。

でも、彼に似ていた。

高い鼻、たれ目。

少し癖のある髪。
白い肌に、大きなあくび。

首から下げた青いひもは、社員証をぶらさげているんだろう。

彼が、どこかの会社に属していることがうかがえる。

「あ」

声が出てしまった。

彼は、あの朝のようにテーブルに覆いかぶさるように、寝たのだ。


間違いない。
YOSHINOさんだ。


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