彼に惚れてはいけません

「もしかしたら、今こんなにも好きって思うのは、俺の下半身のせいかもしれない」

感じているのに、笑ってしまう。

「それでもいい」

私は、それでもいい。

少しでも私を好きになってくれたことは事実なんだもん。

それでいい。

「俺、まだ由衣のことも信じられないけど、傷付いてもいいから・・・・・・一緒にいたいって思った」


大好きな人と抱き合うことがこんなにも幸せだなんて。

大好きな人に嬉しい言葉をもらうと、自然に涙が出るんだね。


知らなかった。

映画では教えてくれなかったよ。

こんなにも自然に涙が出るんだ。

汗のように、気付くと涙が流れていた。


「もう、お前泣きすぎ」

「だってぇ だってぇ」

「じゃあ、もっと泣かせてやる」


そこからの吉野さんは男の顔になり、本当に今までの吉野さんと別人のようで・・・・・・


かっこよくて、たくましくて。

吉野さんの動きひとつひとつに感じている私がいて。

そして、そのひとつひとつに、好きって想いが溢れてきて。

大好きが溢れすぎて、もう本当に消えちゃうんじゃないかって心配になるくらいに幸せだった。





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