彼に惚れてはいけません

「岡田社長、今からランチ連れてってあげたらいいんじゃないですか?ちょうどお昼の時間になりますし、そこで提案してもらうってのはどうですか?もちろん、俺もランチごちそうになりますけど」

吉野さんのナイスフォローに感激しつつ、ランチなら全然大丈夫だなって思っていると、岡田社長から思わぬ言葉が出る。

「ランチじゃ、親睦が深まらないんだよ。やっぱり、ちょっとお酒でも飲みながら、ね」

ニヤリと笑ったその顔を見て、私が抱いていた疑惑が真実味を帯びてくる。


私は社内の同期男子社員に言わせれば、おじさんから見てちょうど良い感じ、なのだそうだ。
ぽっちゃりともいかず、細くもなく。
特別美人ってわけでもなく、普通っぽい。
それで、小動物系だと良く言われる雰囲気が、おじさんに好まれるんだと分析した人がいたっけ。


「わかりました。詳しい資料を持ってきます」

機械的にそう答えると、岡田社長は6時にビルの下に来るようにと言い、部屋を出て行った。

「良かったじゃないか。あの会社は儲かってるから、きっとうまくいくと思うよ。頑張って、提案しておいで」

吉野さんの会社の社長はそう言って、私が渡したパンフレットに目を通す。

「佐々木さん、あくまでも仕事だから、無理することはないよ」

吉野さんは少し不機嫌な顔をしてそう言い、それを聞いた社長が

「でも、まあ、割り切って、美味しいものをごちそうしてもらえばいいじゃないか」

と言った。

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