彼に惚れてはいけません

「それでは、この詳しい資料の説明してもいいでしょうか」

鞄から書類を出し、社長の前に並べた。

「おいおい、まだそれは早いだろう」

と書類をテーブルの端にまとめられた。


負けない。


「そうですね。食べてからにします!」

確かに美味しいお肉です。
一生に一度食べられるかどうか、の美味しいお肉だと思います。

でもね、安くても大好きな人と食べるお肉がいい。

もうこんなことはやめよう。
これを最後にしようと思った。

今までも、自分の中でこういう誘いは断るようにしていたし、契約が決まりそうな時に食事にいくことはあっても、いきなり誘われて行くことはなかった。

でも、今年の春からの契約件数は社内全体でも全然だめで、私自身もだめだめで。

それに、吉野さんの紹介だったから。
いいかなって思ったんだ。

「事務所の広さはどれくらいですか」

「そうだねぇ、1フロアだからこの店くらいかな?でも、インテリアの展示場やモデルハウスもあるから、いい提案してもらえたら、なかなか大きな仕事になると思うよ」

お肉を食べた後に唇をぺロっとなめる癖があるらしい。

その顔がとても苦手だと思ったが、すぐに変換!
もしも、吉野さんだったら、と想像するとかわいくてニヤけてしまう。


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