彼に惚れてはいけません
「何、泣いてんだよぉ?」
頬にキスをされて、私は我に返る。
これは初めての経験だった。
キスの途中で自分を見失い、夢の中にいるような感覚。
涙を流していることさえ、気付いていなかった。
幸せすぎて、泣いていた。
「吉野さぁん」
私は吉野さんに抱きついた。
「どーしたんだよーー!由衣」
「吉野さぁぁぁぁん」
どうして泣いているのかはっきりした理由はわからなかった。
ただ、幸せだった。
「だからぁ、何?俺、舌入れすぎた?」
「ふふふふふ。違うよ。吉野さんのばかぁ~」
「え?何?」
戸惑う表情もまたかわいくて、本当に好きで好きで仕方がないと思った。
その涙だったのかもしれない。
こんなにも大好きな人に出会えた。
そして、大好きな人と最高のキスをしている。その現実が嬉しくて、泣いてしまったのかな。