彼に惚れてはいけません
「ねぇ、その赤い猫、好きなの?」
私が吉野さんの隣に置いた鞄から覗くスマホを指差した。
「猫ってなんだよ!!ジバニャンだろ~!」
「あ~!そうそうそんな名前だったね。子供に流行ってるんだったよね」
よくテレビで見るその猫は妖怪ウォッチというアニメのキャラクターらしい。
でも、その猫をどうして知ったのか、それは話してくれなかった。
だって、娘さんはもう大きいし、そんなの好きじゃないはずだし。
不思議な感情が芽生えていた。
これは、世に言う“嫉妬”というものだろうか。
子供がいない男性であの赤い猫をスマホカバーにしているって、ないんじゃない?
もしかして、他にも子供がいるのでは、とかいろんな妄想が生まれては消えて、頭の中が混乱していた。