彼に惚れてはいけません
「どうした?誰か知り合いでもいた?」
「うん。同僚が私の後ろの席にいる。ちょっと長めの髪の、けだるい感じの人です」
「あ、あの子だね。なかなかイケメンじゃないか」
中村亮司は、お客さんや取引先の女性からは人気があるのは事実で。
私は、生理的に受け付けないのと、あまりにも近すぎて男としては絶対に見ることができないって理由から、中村さんには厳しい評価を下している。
「彼、こっち見てるよ。相当見てるよ。由衣の背中に穴が開くほど見てるよ」
「マジですか?絶対気付かれたくなかったのに」
「どうして?俺みたいなおじさんと一緒にいるから?」
寂しそうな顔をした吉野さんにキュンとした。
「吉野さんは全然おじさんじゃない」
「ありがと。そんなに俺が好きなんだねぇ~」
とニヤニヤしながら、私の頭をもう一度撫でた。
ダメだって!!と目で訴えるけど、吉野さんはニヤニヤしたまま、私の頭をなで繰り回す。
「彼、まだ見てるよ。これで、由衣には手を出さなくなるだろう」
「最初から手なんて出されてませんから!!」
「いや、あの目は狙ってる目だった。由衣は誰にも渡さないから。俺のもの」
いやいやいやいや、ちょっと待って。
本当に嬉しすぎるお言葉頂いたんですけど、それって本気にしていいの?
彼女でもない女の子にそんなセリフ言っちゃっていいの?