強引上司の恋の手ほどき
胸の中なかに黒い雲が立ち込める。もやもやとどんどん大きくなる。

自分の知らない課長の姿を突き付けられたような気がして自分の思い上がりに気が付く。

少しくらい構ってもらえたらからって、ちょっといい気になってたのかも。

そもそも、課長については知らないことの方が多い。それにモテると豪語する人がデートの相手のひとりやふたり、いるのが当たり前だ。

——ドンッ

「すみません」

ぼーっと立っていた私に、サラリーマンの鞄がぶつかった。

紙袋が落ちそうになって慌てて抱えなおした。

「こちらこそ、すみません」

謝罪をして、歩きだした。早くその場所から離れたかった私は、早足で会社を目指した。

自分だけが特別だなんて勘違いもいいところだ。

課長はただ私が心配であれこれ世話をやいてくれているだけだ。勘違いが自分でも恥しい。

ぐっと唇を噛んで自分を戒めた。
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