強引上司の恋の手ほどき

みんな酔いが回り始めてそろそろお開きの時間が迫っていた。

私は課長からの軍資金と、みんなから集めたお金をもって先に会計を済ませた。そして席に戻るまえにトイレへと向かう。

打ち上げも終わったし、次は年末かぁ……。また忙しくなるなぁ。

そんなことを考えながらトイレから出ると、さっきまでずっと課長の隣に座っていた大西さんが立っていた。

「……お疲れ様です」

無視するのも変だと思い、声をかけると彼女がニコッと笑顔になった。しかしそこに不穏なものを感じ、私は身構えた。

「菅原さん、ごめんなさいね。いつものあなたのポジション奪っちゃって」

「いえ」

会釈して通り過ぎようとする私の腕を彼女が掴んだ。

驚いて顔を見ると先ほどの笑顔が醜悪に歪む。

「やせ我慢しちゃって。ずっとこっち見てたの知ってるのよ。私と課長がどうなったか知りたい?」

あの日の告白の結果のことを言っているとすぐに分かった。知りたいけれど……知ったところでどうしていいか、まったくわからない。
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