強引上司の恋の手ほどき
「そういうことは、私は……」

「知りたいでしょ? 教えてあげる。課長好きな人がいるんだって。もうずっと好きだって言ってた」

課長に好きな人がいる……。

その可能性を考えなかったわけじゃない。

けれど事実として突きつけられると穏やかではいられなかった。

とっさに、首を振って拒否したが彼女は私にはっきりと聞かせるように話しを続けた。

「正直私は、セフレでもよかったんだけどね。課長上手そうでしょ? あ、処女の菅原さんに言ってもわからないか」

「……それどうして」

なぜ大西さんまでそんなプライベートなことを知っているの?

その質問にもすぐに答えたくれた。

「知らないの? 営業課の中村さん、言いふらしてるわよ。あなたがツマンナイ女だって」

「うそ……」

指先が急激に冷たくなっていくのを感じた。ドクドクと心臓が音を立てる。

「嘘じゃないわよ。けっこう面白い話だったわ」

人のプライベートなことを“面白い”と表現した大西さんを睨む。

「いやだ。怖い! ツマンナイ上に怖いなんて、女として終わってるわよね」

鼻で笑う様子に、怒りがこみ上げてくる。

「あ、ごめんなさい。私思ったことつい言っちゃうタイプなんで」

ケタケタと笑い悪いとは欠片も思っていなさそうだ。

「そこ、どいてください。失礼します」

前を塞いていた大西さんの脇をすり抜けた。
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