強引上司の恋の手ほどき
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「なんで、俺がこんな研修うけないといけないんだよ……」
年の明けた一月半ば。私と課長は研修センターのある仙台へと向かっていた。
実はふたりとも、本来ならばこの研修には参加する予定ではなかった。
三年に一回開かれる、併設されている工場の見学と自社製品の知識を深めるのが目的なのだけれど三年前に参加するはずだった私は、当日熱を出し欠席していた。
その振替として今回受講することになっている。それはまあ、分かる。
でも課長は……気の毒としか言いようがない。
「なんでこの研修が全社員必須なんだよ」
ヘッドハンティングでここに来たのがちょうど三年前。そのとき参加していればよかったのだけど、なんかしらの理由で不参加だったらしい。
役職がついてるので、免除かとおもいきや……三十五歳以下は必須との八年前の通達がまだ生きていると教育部からお達しがあり、私とともに研修に参加することになったのだ。
「たまには、社内の人に顔を売ってきなさい」という総務部長のお達しもあり……しぶしぶ仙台の地を訪れたのだった。