強引上司の恋の手ほどき

研修は、座学、見学、座学の順番で十六時まで続いた。昼食は用意されたお弁当を食べて一日コースだ。正直久しぶりの研修で、何度も船をこぎそうになった。そのたびに課長が隣から膝で私をつついて起こしてくれる。

「課長は眠くないんですか?」

不思議になって小声で来てみた。課長の方がよっぽど疲れているはずなのに。

「つまらん会議で鍛えられたからな」

すごく偉そうに返されて思わず笑うと、講師を担当している社員と目が合ってしまいあわてて俯いた。

いけない……研修中だった。

心を入れ替えた私は、背筋をのばして研修に集中した。



少し時間はオーバーしたが、大きなハプニングなく研修は終了した。

途中ねむくなったりもしたけれど、自社製品のできる過程を目にして、商品について知識を深めることは間接部門
で仕事をする私にもとてもためになるものだった。

「ちょと、俺挨拶してくるから……これ飲んでちょっと待ってろ」

休憩ブース缶コーヒー買って、私に手渡してくれた。
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