強引上司の恋の手ほどき
***

連れてきてもらった場所は地元でも有名な牛タンの専門店だった。

店内に入ると、急な話だったのにもかかわらずキチンと座敷が用意されていて、課長は支店長や役職付きの人たちに囲まれて、上座に連れて行かれていた。

私は、取り残されるかと思っていたがちょうど去年まで本社の営業課にいた社員も参加していて知った顔があったために安心した。

ビールで乾杯したあと、気を使って色々とはなしかけてくれたからか、楽しい時間を過ごすことが出来た。やっぱり同じ会社で働くもの同士だからか会話にはそんなに困らなかった。

どこから飛び出したのか、本社の七つない七不思議の話しなんかも飛び出してきたりして私も笑顔で楽しんだ。

運ばれてきた料理は、牛タンがメインだったがやはり本場だけあって、今まで食べた牛タンと比べ物にならないくらい美味しく、また一緒煮出されたテールスープも美味しくて驚いた。

「これも食べてみてください」

営業事務の女性社員が差し出してくれたのは、牛タンの握りだった。柔らかそうに見えたが弾力が素晴らしく、私はゆっくりと味わって食べたのだった。

食事もお酒もだいぶん進んだ頃、顔なじみ営業マンが私に声を掛けてきた。
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