強引上司の恋の手ほどき
「課長が……課長が好きだからです」

私は意を決して思いを告げた。ぎゅと目をつむり課長の言葉を待つ。

すると、頭を優しくポンと叩かれた。

「やっと白状したな」

え……どういう意味?

驚いて顔をあげると、満面の笑みをうかべた課長が私を見つめていた。

「はく……じょうって、どういう?」

「お前が、俺のこと好きだって、やっと認めたってことだよ」

「だからそれって、どういうことなんですか?」

勢いで告白してしまったこともあいまって私はちょっとしたパニックになっていた。

「お前が俺のこと好きってことくらい、とっくに気がついてた」

「え! いつからですか?」

私は問い詰めようとしたが、一台のタクシーが私達の前に止まった。扉が開いて「乗って」と私の背中を押した。

ちゃんと話聞きたいのに。

「仙台駅までお願いします」

課長がそう告げると、タクシーはゆっくりと走りだした。
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