強引上司の恋の手ほどき
「駅の裏側だからここから少し歩かないといけない。ついてこいよ」

「はい。でも私、泊りの準備なんてしてないんですけど」

「俺もしてない。日帰りの予定だったからな」

スタスタと歩き始めた課長についていく。そうしないとここでひとり取り残されても困る。

「あの、ホテルって……その」

話しかけようとすると課長がコンビの前に止まった。

「必要なものあるだろう? 俺がいないほうがいいだろうからここで待ってる。ほら、行って来い」

たしかに下着やストッキング、お泊り用の化粧品をを買うとなると課長にはあまり見られたくない。

「行ってきます」

課長の心遣いに甘えて、私は急いでコンビニへと駆け込んだのだった。

最近のコンビニは本当になんでも揃ってるなぁと改めて思う。

早速カゴを持って手早く必要な物を揃えると、レジへと向かう。そしてレジ横に置いてあったホットの缶コーヒーをふたつ追加でカゴに入れるとお金を支払って外に出た。

「おまたせしました。これどうぞ」

寒い中待ってくれていた課長にさっきの缶コーヒーを渡した。

「ありがとう。だけどちょっと持ってて。俺も買い物するから」

そう言うと私がさっき出てきたばかりの自動ドアの中へと入っていった。

課長に渡された缶コーヒーで暖を取りながら、課長が出てくるのを待った。

「おまたせ。缶コーヒーくれ」

「はい、どうぞ」

あっという間に出てきた課長に、預かっていた缶コーヒーを渡した。
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