強引上司の恋の手ほどき
私は彼の言葉に応えるように、そっと目を閉じた。

そして柔らかい唇が重なった。一度目は触れるだけのキスだったけれど、二度目に触れたそれはさっきの優しさなんて微塵もなく激しいの一言に尽きた。

でも……嫌じゃない。全然嫌じゃない。

いつ扉が開くかもしれない、エレベーターの中。それなのに私は抵抗することも忘れて課長の腕を強くつかみ、彼を受け入れることしかできなかった。

ポーンと宿泊する部屋のあるフロアに到着した音がしたとき、唇がやっと離れた。

ガクンと膝が崩れそうになったのを、課長が支えてくれる。

「これくらいで、ギブアップとか……これからもっと凄いことするのに、大丈夫なのか?」

ニヤリと笑う彼の顔が、今からはじまるふたりの夜の始まりの合図だった。
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