強引上司の恋の手ほどき
全身に降りてくるキスと、彼の優しい指先でどんどん熱くなっていく体を、私はもう自分で制御できなくなっていた。

全身……心も……課長で満たされていく。

課長のこと以外、なにも考えられなくなったころ、彼がそっとささやいた。

「そろそろ……いいか?」

それが意味することが分かって、私の体が一瞬こわばった。

過去一度経験したあの痛みが急によみがえってきたのだ。

「そんなに怖がらなくていい。痛いだろうけど……でもそれも気にならないくらい愛する自信が俺にあるから」

真剣な目に見つめられて、私は頷いた。

彼にここまで欲しいと言ってもらえたこと。私を愛してくれると言ったこと。それが私の心のこわばりを解いていく。

ガサゴソと音がしていたけれど、私は天井を見つめて深呼吸をした。心のこわばりは溶けたけれど、体のこわばりはなかなか溶けない。

一度離れた彼がすぐに戻ってきた。

とうとう……あ、だけど本当に大丈夫かな!? 痛い? いやみんな我慢できてるし、でもやっぱり痛いよね、絶対……。
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