強引上司の恋の手ほどき
ぽそっと言った言葉に、どこまでなにを知っているのか思わ問い質しそうになった。

俺の近くで俺の仕事を見ている金子は、なにか気がついているのかもしれない。

「そうか。だったらお前が菅原に忠告してあげればいいんじゃないのか?」

「千波が聞くと思います? 今のあの子は恋に恋してる中学生状態だから、周りが反対すればするほど盛り上がります」

「そうだろうな」

だから俺は、まどろっこしいことをしながら千波が俺を好きになるようにしてるんだ。

「私は、課長を全力で応援します」

にっこりと笑った顔は、どうみても今の状況を面白がっていた。

「なんのことだかわからないが、とりあえずお礼だけは言っておく。ありがとう」

俺はそう言い残すと、ボロが出ないうちに金子から離れた。
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