強引上司の恋の手ほどき
「い、痛い!……痛い」

下腹部に今まで感じたことのない痛みが走る。どうにか我慢しようとしたけれど、無理みたいだ。

「もう少しだから、我慢して」

やめてもらえると思っていたのに、思いもよらない返事が帰ってきて焦る。

その間もどんどん痛みが増していき、私はとうとう声を上げてしまう。

「ヤダ。痛いんです。無理です……」

中村くんと距離をとって、シーツを引っ張りあげて体を隠した。

じっと私の顔を見ていた彼が、視線を反らせた。

「悪い。なんか焦ってて。今日はやめておこう。ちょっとシャワー使わせて。出てきたら今日は帰ろう」

一度もこちらを見ずに、まくし立てるように言い切ってシャワールームへと消えた。

……失敗した。

じんわりと目に涙が浮かぶ。もっと我慢しておけばよかったの? でも痛みと不快感しかわいてこなかった。これ以上先には進めない。

私が間違ってるのかな? 痛くてももっとロマンチックで幸せな気分に包まれると思っていたのに、想像とは全然違った。
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