強引上司の恋の手ほどき
「でも、お前からの真剣な告白をきいて我慢できるほど俺は大人じゃなかった」

フェンスに置いていた私の手を彼が包み込んだ。それはいつもみたいな強引さは微塵もなくてただただ優しい。

そしてその瞳には、自信に満ち溢れているいつもとは違って私の様子を窺うようなものだった。

もしかして、郡司さんも不安なのかな?

私が彼の立場に驚いて戸惑うことはきっと彼なら予想していたに違いない。私の出す答えにおびえているのかもしれない。

「郡司さんはズルいです」

私の言葉に彼は目を伏せた。

「あぁ、そうだな」

彼のこんなに自信のない顔を見たのは初めてかもしれない。

「私をこんなに好きにさせておいて……断ることができないまで好きにさせておいて。こんな大事なこと後出しするなんて」

「悪かった」

「だから、責任取ってなにがあっても私のこと守ってくださいね」

「それって……」

私の顔をみて期待に満ちた表情を見せた。

「正直今でも釣り合いが取れていないと思うことも多いです。でも少しずつ自分のためにも郡司さんのためにも、成長していきたい。そしていつか誰にも文句言われない“深沢郡司”の彼女になりたいと思います」

私が言いきると彼の手が伸びてきた。そしてそのまま私を優しく抱きしめた。
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