強引上司の恋の手ほどき
帰宅後、台所を見て仕事の疲れがどっと押し寄せてきた。

朝ギリギリまでお弁当を作っていたので、台所はグチャグチャなままだ。

ため息をつきながらとりあえず洗いものを始めた。バックから取り出したお弁当箱を洗うときにふと課長の顔が思い浮ぶ。

お世辞でもおいしいとは言えないお弁当だったのに、全部食べてくれた。

もしかして今頃お腹痛くなってないかな?

考えだすと、いてもたってもいられなくなってSNSを使ってメッセージを送信してみる。

するとすぐに返信があった。

【ちゃんと火は通ってた。心配するな】

よかった。今度はちゃんとおいしいって言われるお弁当作らないと。

【次はおいしいお弁当作れるように努力します】

と返すと、

【期待しないで待ってる】

と返事が返ってきた。

なんだかそのやり取りが楽しくて、ひとり部屋でニコニコとしてしまう。

すると手の中のスマホが震えて、SNSのメッセージ受信を知らせてきた。

課長からだと思ったメッセージは中村くんからだった。

【今日はゴメンね。明日千波のお弁当食べられる?】

そのメッセージを見て、私が誰のためにお弁当を作っていたのか思いだした。

【OK!明日準備していくね】

最初からこうやって前日に連絡しておくべきだったんだ。

私はメッセージを送ると、自転車に乗って今日もまた深夜営業のスーパーへと駆けこんだのだった。
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