強引上司の恋の手ほどき
翌日。

昨日は課長と座っていたベンチに中村くんと座っていた。

「昨日は本当にごめんね。今日は楽しみにしてきたんだ」

そう言ってもらええると、朝バタバタしても作ったかいがある。私は彼がお弁当の箱を開けるのを見守った。

ゆっくりとお弁当のふたが開けられる。

——よかった。ちゃんと綺麗なままだ。

昨日の失敗を踏まえて、なるべく隙間が明かないようにお弁当を詰めた。そのせいか昨日みたいに寄っていることはなかった。

彼の反応を楽しみに待っていたが、なんだか戸惑っている様子だ。

「あの、どうかしましたか?」

「え、あ……いや。なんか地味だね。お母さんのお弁当って感じ」

お母さん? 

「いや、肝心なのは味だよね。なんか水差してごめん。いただきます」

「いえ。どうぞ」

綺麗に詰めることには気を遣ったが、彩までは気にしてなかった。

これも自分の女子力の低さが悪いんだ。中村くんは思ったことを口にしただけ。

……ただそれだけだ。

「このポテトサラダおいしいよ」

昨日課長にもらったアドバイス通り、茹で卵をプラスしてみた。ちゃんとその成果が出ていたみたいで安心した。

私も自分の分のお弁当の包みを開けて食べ始める。

「これだけ作るの大変だったでしょ? 俺のためにわざわざありがとう」

笑顔でお礼を言われて嬉しくなった。昨日の辛さなんてあっという間になくなってしまう。
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