強引上司の恋の手ほどき
「なぁ、そんなに無理してするのが、お前の恋愛なのか?」

顔を上げると、悲しそうな目で私を見ていた。

「相手を喜ばせようと努力するのと、自分を押し殺して我慢するのとでは全然違うんだ。そんなものは恋愛とは言わない」

薄々気がついていた。ここ最近ときめきやワクワクよりも彼に嫌われないようにするための選択肢ばかりを選んでいた。

「じゃあ、私はどうすればよかったんですか? 彼と一緒にいるために努力してるつもりなのに」

声を荒らげた私に課長は驚いたようだったが、屈んで私と視線を合わせた。

「お前、本当に中村のこと好きなのか? 初めて出来た彼氏だからこだわってるわけじゃないのか?」

気がつかないようにしていたことから目をそらすなと言われたようでいたたまれなくなる。

「違います。そうじゃないです」

必死で否定する。それはまるで自分に言い聞かせるように。

「でも、お前……」

課長の言葉を遮るように、電話の音が鳴る。
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