強引上司の恋の手ほどき

それからうとうとしたり、目が覚めたりを繰り返しながら私は時間を過ごしていた。さっき下がっていた熱も、また少し出てきたみたいで少し寒気もする。

ふとテーブルの上においてあったスマホを見るとメールが届いていた。

中村くんだ。

飲みに行こうという内容のメールだったが、受信時間が定時すぎてすぐだった。

今はもう二十三時。時間はかなり過ぎていた。

メールを打とうと思ったけれど、直接謝ったほうがいいと思い電話をかける。

呼び出し音だけが響いて、応答がない。私が諦めて切ろうと思ったときに、「もしもし」という声が響いてきた。

「メールくれたのに返事できなくてごめんね」

「あぁ、おせーよ。俺待ってたのに。最近千波付き合いが悪い。昨日だって途中で帰るし」

不機嫌な彼の声が電話口から聞こえた。

「本当にごめん。まだ体調が悪くて」

「それにしても連絡くらいできるだろ? 好きだったらちょっとくらい無理するはずだ」

ちょっとくらいの無理か……。

あとどれくらい、無理をすれば彼の理想の女性になれるんだろうか?

あとどれくれい、自分を押し殺せば彼の一番近くにいられるんだろうか?

そんな日来るの?
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