強引上司の恋の手ほどき
その日の仕事終わりに、駅前にあるカフェに中村くんを呼びだした。

「悪い。待った?」

「ううん。急に呼び出したの私だし気にしないで」

店員さんに注文を済ませると、私は本題を切りだそうとする。

けれど中村くんの話が途切れることなく、なかなか話ができない。

「あ、そうだ。俺今からまた大阪出張なんだけど、最近大阪支社の話って経理課で出てる?」

「どうして?」

急に経理課の中の話を聞いてきたのかわからない。

「ほら以前千波が言ってたじゃん。大阪支社の数字ががどうのこうのって」

たしかに、経理の担当者がどんなひとか彼に聞いた。

「いや特に、あ。でも今日も大阪支社から電話かかってきてたかな。それがどうかした?」

「うん、いや。なにも。あ、俺そろそろ行かないと新幹線に間に合わないや」

伝票を持った彼が立ちあがる。

え……でも私まだなにもいいたいこと言えてないのに……。

「悪いな。実はこれから一ヶ月出張続きなんだ。次会えるのは社員旅行だと思う。寂しいかもしれないけど、我慢して」

「え、ちょっと待って……」

そう言い残すと、私の言葉が聞こえなかったのか支払を済ませてカフェを出てしまう。
< 98 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop