新選組と最強子供剣士
口をとがらせて言う子供の表情は、どこまでが本当かが分からない。


芹沢はそんな子供を鼻で笑った。


「お主なんぞ、小僧で十分だ」。


「ひっどいな~」


「どうでもいいだろう。それで、何の用だ?」


目を細め、芹沢は威圧するように言った。


その威圧感は、流石新選組の局長といったところだろう。


だがそれでもなお、子供は笑っていた。


目の前にいる者は、そういう小僧だ。


決して他人に本心は出さない。


この子供は、もうすでにどこか狂っているのだろう。


だからタイムスリップしたのかもしれない。


自分と同じように。


「情報が欲しいんだ」


「ほぉ~お主がか。何の情報が欲しいんだ?」


「あんたのもってる情報全部だよ」


「何の為にだ?」


「何の為に?そんなの決まってるじゃん」


自分の為にだよ。


そう、聞こえたような気がした。


実際には言っていない。


目の前の子供の表情が、そう言っているような気がしたのだ。


「僕はね、我がままなんだよ。ここで生き抜かなきゃいけない。未来に帰るために。僕自身の目的のために。

その目的を達成するために、仲間に死なれちゃ困るんだよね。だから情報が欲しいんだ」


「‥‥‥わしも未来への帰り方は知らん」


「それは神様に聞くから。僕が欲しいのは、この江戸時代、幕末の情報だよ」


江戸の情報。


新選組の局長、第1責任者のようなことをしてきたんだ。


多少は有益な情報をもっている自身はある。
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