新選組と最強子供剣士
ふと、こっちに向かってくる気配を感じる。


バレないように僕は自然とその場を後にした。


次に発見したのは台所であろう場所。


勝手場っていうんだっけ?


そんなことどうでもいいか。


江戸時代独特の感じがいい。


周りを見回すと、洗い残っている食器を発見。


まぁあんなにある食器を短い時間で洗うのは無理だよね。


日々溜まっているのか、結構残ってる。


さっき行った井戸から水を台所にあった桶に入れて、食器を丁寧に洗って干す。


明日には乾いているだろう。


うん、我ながら女子力は高いと思う。


「何をしている」


後ろから声をかけられて、ビクッと肩を震わした。


後ろを振り返れば、鬼の副長と呼ばれる土方さんが怖い顔をして立っていた。


「えっとね、洗い残しがあったから‥‥‥明日の朝、ま、また使うと思って!」


僕が言うと、洗ったお皿を土方さんは見た。


そして、眉間の皺をなくし無表情になった土方さん。


無言でこちらに来ると、ほんの一瞬だけポンと僕の頭に手をのせた。


僕はびっくりして固まる。


土方さんの顔は、無表情だけど目が優しい事に気づいた。


「もう子供は寝ろ。夜は危険だから、あんまりうろうろするな」


無愛想に、でも、優しく言われて僕は何故か泣きそうになった。


可笑しいな、七郎の時だってこんなことにはならなかったのに。
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