新選組と最強子供剣士
だが、包帯を巻き直す時に見た怪我はまだ痛々しい状態で。


動き回っているのが不思議なくらいだった。


「なぁ原田はん、最近あんまり来てくれへんやないの。今日くらい、ゆっくりしていかれまへん?」


「おお原田、相変わらずだな!」


芸子に誘われる原田を笑う芹沢さん。


原田は苦笑いをしながら、迫ってくる芸子を手をかざした。


「すまねぇな。今日は付き添いで来ただけなんだ。また今度な」


「んもう、約束どすぇ?」


少しふてくされる芸子。


それから、宴会は盛り上がっていった。





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八木邸・屋根上


近藤達と芹沢達を待つ影が2つ。


傘を持っていて、一見、目に入ればすぐに見つかると思われる。


だが、2人は完璧に近いほど気配を絶っているため、まるで屋根の上には何もないかのよう。


「お?」


「あらあら‥‥‥」


その2人が、不意に声を出した。


八木邸に向かってくる人影が3つ。


「1人は芹沢に恋する者」


「後の2人は‥‥‥おそらくですが、芸子ですわわね」


「芸子?」


「はい。平間重助の糸里。平山五郎の吉栄。どちらも、2人の馴染みのある者ですわ」


「へ~何でまた、こんな大雨の日に八木邸に来るんだろうね?」


「フフッ、まったくですわね」


刹那的、2人の目が細められた。





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