よるにひとり
ふたり


ーーーー。



ドアホンの音が鳴る



耳のうらではまるで救急車のサイレンが響いているかのように

ざわざわと好奇心が音を立てて騒がしい








今度は本当に私の家に来たのだ。









急いで玄関へ向かう




ドアの外には少し息を切らした彼が立っている。



「“いいの?”ってなんだよ」




外が寒いのも忘れて
私は小さく笑った。


彼は不思議そうに見つめる。






「いや、なんでもないの。
ただ、おいしいリンゴがあったんだけど」

「食べなくていいのかな
って思っただけなの」


そしてまた小さく笑う。





「今夜は泊まっていって」



彼を中に入れながら言った。





「あぁ、うん。そうするよ」





新しく取り出したリンゴをむいて
テーブルに皿を置く


「本当はね......」


テレビをつけてマフラーをたたみ直す。


「ん?」

髪の毛についた雪を払いながらリンゴに手をのばす。





      会えなくて    “いいの?” 







彼が一口林檎をかじる








< 14 / 14 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

雨
rainn/著

総文字数/950

恋愛(その他)8ページ

表紙を見る
お酒とふたり
rainn/著

総文字数/1,404

恋愛(その他)12ページ

表紙を見る
夏の匂い
rainn/著

総文字数/287

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop