帰り道
拓哉がそんなに努力して格好いい自分になれるように、高島さんに格好いいと思われる彼氏でいるために頑張ってたなんて知らなかった。
まぁ そもそも最近はあんまり喋ってなかったから仕方ないのかもしれないけど。
「俺もアホだけど女心ってのもよくわかんねぇわ。みんなお前みたいに簡単ならいいのにな」
「ちょ、どういう意味よ?」
「まぁ、お前はそのままでいいって。」
いやあたしだって女心ぐらいあるし。
…たぶん。
それにしても拓哉が無理して明るくしようとしてる姿がなんか少しだけハルとかぶる。
ふたりの想う人は同じ人だというのが余計に辛いところでもあるし。
「はぁ…バイト辞めようかな」
「あぁ、彼女のためにあそこのカフェでバイトしてるんだっけ?」
「え?お前何で知ってるの?俺言ったっけ?」
「まぁ風の噂で‥」
なんとも苦しい言い訳だ。ハルに聞いたとか言いづらいし ハルの話はあまりしたくない。
「ふーん‥まぁいいけど。でも彼女の為に始めたとかそんな格好いいもんじゃねぇよ」
「じゃあ何?」
「あいつがあの店が好きでよく行ってるって言ってたからさ、あいつに会いたくて始めただけ。結局は俺のため?」
「……。拓哉さ、それを高島さんにちゃんと伝えなきゃダメじゃん。伝わんないって。」
「えー、無理。」
まったく…。
ほんとにあたしたちは不器用同士だね。いい子ぶるあたしと、格好つけちゃう拓哉。
嫌われたくないから、好きになってもらいたいからこそ あたしたちは余計に言いたいことも言えずに空回りしているのかもね。