帰り道



少し悩んで居間に戻るともう拓哉は泣いてなかった。

再び拓哉の隣に座り直して顔を覗き込むと目は擦ったのか赤かった。


「大丈夫?」


と恐る恐る聞くと
拓哉はフッと軽く笑って


「凛‥変な気遣うなよな。」


と言ってあたしの頭をベシッと叩く。

たぶん泣き顔や弱さを見られたことへの照れ隠しだろうから普通通りに接した方がいいかな。


「痛っ。もう拓哉のアホっ。」


「お前がらしくねぇことするからだろー。最近優しくなったんじゃね?」


「はっ!?んなわけないでしょ」


拓哉の突然の発言に戸惑ってしまう。


「そーか?前は他人に無関心だったしさぁ。

ま、でも何だかんだで優しいよな、お前って。」


「え?」


「俺にしか見せない部分だったんだけどなぁ。」



ニヤニヤと笑う拓哉にすごく腹が立ったけど拓哉がこんなことを言うなんて珍しいから驚いてしまう。



「お前、好きな奴でもできたんだろ?」


「そんなんいないよ」



拓哉には特にあまりハルの話をしたくないあたしは思わず嘘をつく。


拓哉はそんなあたしの言葉を無視して更に言葉を重ねてくる。


「凛の好きな奴って春輝ってやつだろ?」



「へっ!?」



いきなり出たハルの名前に思わず素っ頓狂な声を出してしまうあたし。
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