帰り道



「凛、そういえばまだギター続けてるんだな」


真っ直ぐに拓哉の家に来たせいでそのまま持ってきたあたしのギターを見つめながら言う。



「え?うん」



拓哉はあたしのギターケースからギターを取り出してチューニングする。


「拓哉がギター持ってるとこ見るの久しぶりかも‥」


「うん、何年ぶりかわかんねぇな」



あっという間にチューニングを終えて懐かしそうに指を動かしていく。


最初はうまく出てなかったコードも段々綺麗に出るようになる。


「久しぶりで下手だな俺」


そんなことを言うくせに拓哉の指先から生まれるメロディーはすごく優しくて綺麗でドキドキした。


昔と同じだ。



たった少し触っただけで少しずつ感覚を取り戻していく。


それでもクールな表情のままの拓哉。
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